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偶然に生まれたハンド、審判の誤審で、横浜、磐田による大一番の決着がついてしまった。ロスタイム直前の後半44分。右サイドから名波の絶妙なFKがゴール前に飛び込む。ペナルティーエリア中央では、福西が日本代表でともにプレーするDF中沢と競り合い、ゴールを背にしてジャンプ。上げた福西の右腕の下に中沢のボンバーヘッドが入ったこともあり、福西の手が押し上げられた。その右手甲に飛んできたボールが当たり、高く弾んで弧を描くようにゴールイン。

 福西「見たら入っていた。(中沢)佑二とぶつかっていたし、押されていたし、どうなったか分からない。公式記録は(得点者は)オレになったの? 映像も見ていないから分からない。どうなったか僕が知りたいよ」。

 横浜は即座に抗議した。ゴール前に人が群がっていたため、岡田正義主審(46)は副審に確認したが、判定を覆すことはなかった。しかし、生中継したNHKは決定的瞬間を何度も全国に流した。福西のゴールが決勝点となり、磐田が王者横浜を1-0で下した。

 Jリーグは今季からスペシャルレフェリーのトレーニングキャンプを年20回行うことを決め、誤審撲滅を目指していた。先月23日には1回目が行われたばかり。この日の岡田主審はW杯の審判も務めたこともあるJリーグNO・1レフェリー。FKは間近に位置を取り見ていたはずだが、それでも誤審は起きた。福西は、セットプレーに強くゴールも多い選手だけに、それが判断に影響を与えた可能性も否定できない。鈴木昌チェアマンも「手に当たっていたみたいだね。だがこれがサッカーだし、判定は覆らない」と話した。

 福西の劇的ゴールで就任後初勝利となった山本監督は「ビデオを見ていないので何ともいえない」と明言は避けた。MF西は「グジャグジャで誰のゴールか分からなかったけど、入ったので喜んだ」。DF田中は「テレビで見て確認しますけど、とりあえず認められているわけだし」と大きな1勝を喜んだ。

 敗れた横浜DF中沢は「主将としてどこまで抗議していいか分からなかった。時間もなかったし。難しい場面だった」と肩を落とした。GK榎本は「いいパンチングだった。いいGKになれると思う」。横浜スタッフは「いくら頑張って守っても、バレーボールをやられては勝てない」と皮肉たっぷりに話した。
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