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屈辱を晴らすプロ初ゴールが、名門復権への足がかりになった。後半15分。横浜MF小宮山尊信(23)は、浦和DF坪井が右クロスをクリアミスしたこぼれ球に、いち早く駆け寄った。「最初から自分で打つつもりだった」。トラップミスでボールが流れたことで、いい角度もついた。思い切り振り抜いた右足弾は、追いすがる坪井のまたを抜き、ゴール左隅に決まった。

 同僚の喜びの輪が解けてもなお、何度も拳を突き上げて喜んだ。「去年の分を取り返したいと思ってましたから」。昨年9月の対戦では、相手ゴールキックの場面でMF山田にフリーでヘディングを許し、FW永井の決勝点を“アシスト”してしまった。試合後にはDF中沢らに、涙目になるほどしかられたという。

 今季開幕前も悩んでいた。本職の左ウイングバックでスランプに陥り、練習試合のたびにMF松田の怒声の的に。やがて桑原監督にも、センターバック転向を命じられた。思わず「今のオレは4番手ウインガー。先発するにはDFとして(中沢)佑二さんに勝つしかないのかな」とこぼした。

 悩みが深かった分、喜びは大きかった。試合後には松田に頭をなでられ、笑顔をはじけさせた。中沢からも「今日は相手選手にしっかりついてくれた」と認められた。浦和相手のリーグ戦勝利は、03年9月以来4年半ぶり。宿敵に連勝を止められ、その後チームが低調になるという繰り返しで、3年間も優勝争いから遠ざかってきた。久々の白星は、負のスパイラルを脱する最高のきっかけ。小宮山の一撃が、名門復活ののろしになった。
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