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横浜Mが川崎と1―1で引き分け、2戦合計1―3で敗れた。1点を先行したが後半42分、GK飯倉大樹(23)が川崎FWジュニーニョ(31)に体当たりをくらわし一発退場。数的優位で流れを得ていた時間帯でのプッツン劇で試合をぶち壊した。川崎は07年以来、3度目の決勝進出でJ1初タイトル獲得に王手。F東京は清水を1―0で下し2戦合計3―2で、04年以来2度目の決勝進出を決めた。

 後半41分に事件は起こった。GK飯倉は自陣ゴールマウスからFWジュニーニョを目指して猛ダッシュ。トップスピードに乗った状態で背後から体当たりだ。1分後に主審からレッドカードが出されたが、遅延行為をした相手FWへの怒りはおさまらない。ピッチから引き揚げる際には、叫びながら、なだめるスタッフを振り飛ばすなど大暴れ。試合をぶち壊した。

 第1戦を0―2で落とし、迎えた第2戦。後半23分にDF井川(川崎)が退場し、PKで1点を返した。もう1点取れば同点。数的優位もある。その後、2度決定機を作るなど流れは横浜Mに傾いていた。だが、飯倉の突然の「プッツン」で試合は壊れた。すでに交代枠「3」を使い果たしたため、フィールド選手がGKを行うはめに。最初DF松田が準備したが、ゴール前での空中戦要員がいなくなるため、MF水沼が「生まれて初めて」というGKを臨時で務めた。ロスタイムは異例の7分間。ロスタイム5分にはジュニーニョに簡単にゴールを許し、決勝進出は消えた。

 試合後、冷静さを取り戻した飯倉は「試合に勝ちたい気持ちが先に行ってしまった。試合に水を差してしまった。1分、1秒でも無駄にはしたくなかった。皆さんに、本当に申し訳がない」。ロッカールームではチームメートに涙を流しながら、頭を下げて回ったという。

 プロ入り5年目。今季4月29日のリーグ磐田戦で先発出場したのを機に、守護神の座を得た。23歳と若く、将来が嘱望される。木村監督は「若気の至りというか。本当に退場は痛かった。長いサッカー人生。そういう時に冷静でいられるGKになってほしい」とかばった。この日の失態を、飯倉は成長して返していくしかない。
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