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試合終了後、ゴール裏のサポーター席に向かった横浜F・マリノスの選手たちを待っていたのは、ブーイングの嵐でもなければ、檄のコールでもなかった。もしかしたら、局所的にはあったのかもしれないが、たいした混乱もなく、静かに選手たちを見送った。
ところが、報道陣の取材を受けてバスに乗り込もうとする選手たちを待っていたのは、熱いサポーターズソングのリフレイン。三ツ沢球技場メイン入口の外から聞こえてくる『アモーレ トリコロール』の大合唱。
「この気持ちは 死ぬまで変わるはずはないのさ 愛を歌で伝えようぜ 俺たちはここにいる!」

リーグ戦を含めて3連敗。受け入れたくない現実だが、振り返っている余裕はない。試合はなおも続く。それは応援し続けるサポーターも同じだ。
「ああして最後まで歌い続けてくれるサポーターの人たちを見ると、申し訳ないというか、次は勝つしかないです」そう語ったのは、田中裕介であった。

1-4とまさかの大敗を喫した土曜日(17日)の神戸戦から中3日。横浜FMのメンバーは、GKには出場停止の榎本哲也に代わって、ベテラン高桑大二朗。4バックは中澤佑二、那須大亮をセンターに、右が栗原勇蔵、左が3年目の田中裕介という組み合わせ。そして、松田直樹が今シーズン初出場、それもボランチとして。センターバック一筋できた男だけに、おそらく初体験のポジション。「下手でもいいから、負けたくないという気持ちが必要」と松田が言うように、チームのメンタル面への効果を狙ったのだろう。

3試合続けて先制点を許した横浜FMだったが、それまでの展開は悪くなかった。13分には左から右へ展開し、栗原の攻め上がりをカバーした上野良治のクロスに鈴木隆行が飛び込む。19分には坂田大輔がGKと1対1のシーンを作り出し、コーナーキックから栗原、鈴木の相次ぐシュートは大宮DF陣に弾き返されていた。だが、先制点を機になぜか連動が悪くなる。31分、松田のパスカットから山瀬功治がドリブルで攻め上がるも、周りの動き出しが鈍く奪われた。前半は山瀬功のミドルシュート2本を含む、わずか3本のシュートに終わる。

後半、引いてカウンターからの飛び出しで追加点を狙う大宮に対して、横浜FMは選手交代で打開を試みる。とくに、63分に投入された清水範久が持ち前の運動量で、アクセントをつけた。65分には相手カウンターを阻止してサイドチェンジ、クロスの跳ね返りを拾って右から上げたクロスは、坂田のヘッドにミートしたが惜しくもGKの正面を衝く。

第2節横浜ダービーの淀みから抜け出せない横浜FM。第1節の鈴木退場、第3節の榎本退場に加えて、マルケス、長谷川アーリアの負傷離脱というアクシデントから、固定メンバーが組めないのも不振の要因となっている。だが、10人で戦った神戸戦を除けば、多少のチグハグはあっても、守備が破綻しているわけではない。悪い時期に連戦が続いているという不運もあるが、ここを抜け出せば一気に好転していく可能性もあるだろう。
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