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会心の一撃だった。1―1の後半8分。右45度、約25メートルの位置で自ら得たFK。横浜・中村は慎重にボールをセットし、得意の左足を一閃(せん)。ボールは3枚の壁を越えて鋭く落ちてニアポストをかすめてネットに突き刺さった。

 「今まで入っていなかったのでようやくというか、ホッとした。大事な試合でゴールできてよかった」。3月20日の川崎F戦以来の今季2点目となる決勝FK弾に自然と笑みがこぼれた。

 前日には約1時間半のFK練習を行った。最近FKを警戒する相手チームが壁をルール(9・15メートル以上)より近くに設定していると感じていた中村はダミー人形をわざと近くに置いて蹴った。

 木村監督も試合前に西村主審に「最近は壁が近いので歩測できっちり壁の位置を確かめてくれ」と要請。指揮官の“アシスト”もあり、公式戦では09年11月18日のアジア杯予選香港戦以来、Jリーグでは02年4月13日の広島戦以来となるFK弾が生まれた。木村監督は「きょうはきっちり(壁までの)距離を取ってくれた。あいつ(中村)が入れると盛り上がるから良かった」と自分のことのように喜んだ。

 清水には借りがあった。練習試合も含め今季ここまで3試合で1分け2敗。7月11日の練習試合では2―6と力の差を見せつけられていた。木村監督が「何とか借りを返さないかん」と臨んだ今季4度目の対戦だった。

 中村自身も4月3日のホームでの対戦で左足首を蹴られて負傷。結局このケガが響きW杯で輝くことができなかった。前半2分にはMF兵藤の先制点をおぜん立てした中村が1得点1アシスト。見事に雪辱してみせた。

 次節は中2日で山形と対戦。「山形に勝たないときょうの勝ちの意味がなくなる」と中村。約5カ月ぶりとなる今季2度目の連勝へ導いたエースが横浜を上位へと押し上げる
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