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横浜のルーキーFW渡辺千真(かずま=22)が、歴史に名を残した。デビュー戦となった広島との開幕戦(日産ス)で、前半3分に初ゴールを決めた。94年の城彰二(市原)以来となる新人選手のシーズン1号ゴール。新人ながら、城も背負った背番号9を与えられた大きな期待にこたえた。ただ、チームは開幕戦ワーストの4失点を喫して敗れただけに、喜びも半減だった。

 渡辺が、最初のシュートでネットを揺らした。前半3分。ゴール前、ジャンプで競ったMF狩野からボールが送られてきた。冷静にトラップすると右足で決めた。「健太(狩野)がうまく出してくれたので、いい流れで打てた。うれしかったです」。わずか2日前に、初めて足を踏み入れた本拠地に大歓声を沸き起こした。

 日本人ルーキーの開幕ゴールは5人目で、リーグ1号は城に次いで2人目の快挙。渡辺は「歴史に名を残せてうれしい」と言うものの、大喜びの表情ではなかった。チームの敗戦もあるが、本人はルーキーという意識が薄い。鹿島大迫らが話題になっても「22歳のボクは、今年から結果を出すべき立場です」と、一線を画した。木村監督も新人扱いはしなかった。「宮崎キャンプ中に面談したけど、ソファにどっかり座って堂々としたもんだったよ。初々しいって感じじゃないね」。

 新人離れした落ち着きの裏には、MF兵藤の存在があった。国見高、早大の1年先輩で、いつもコンビを組んできた。プロに入り、初ものずくめの毎日で「兵藤さんが自分のいいところを引き出してくれる」という安心感は何より心強かった。兵藤も「お互い分かっているからね。ボクも生かしてもらっている」。この日のシュートも、兵藤が好機をつくったところから生まれた。

 ただ、守備面など課題も多く残った。「ボールのもらい方がよくなかったし、奪われることも多かった」。木村監督も「得点は素晴らしいが、ボールが収まらず彼らしくなかった」と厳しく評した。次は勝利に貢献するゴールを奪いたい。
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