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“岡田チルドレン”の活躍で岡田ジャパンが初白星を挙げた。ボスニア・ヘルツェゴビナと対戦した日本代表は、札幌と横浜で岡田武史監督(51)の指導を受けたMF山瀬功治(26)が前半33分から出場して2得点1アシスト。全得点に絡み、3―0で快勝した。岡田監督にとって代表戦での勝利は3622日ぶり。攻撃の形が整い始め、2月6日のW杯アジア3次予選初戦、タイ戦(埼玉)に弾みをつけた。

 ピッチに鳴り渡った終了の笛を耳にすると、周囲のスタッフと何度も握手を交わした。復帰2戦目で挙げた初勝利。決して満点の内容ではなかったが、岡田監督は1日ごとに成長が見られる選手たちを褒め称えた。

 「一番ビックリしているのは、(寄せ集めの)代表なのに1つのチームになっているところ。役割をわきまえて勝つためのプレーをしている。そこには手応えを感じている」。昨年12月の監督就任から2カ月弱。短い準備期間ながら、W杯アジア3次予選前最後の試合で結果を出した。

 前半は細かいパスがつながり、再三相手ゴール前まで攻め込みながら得点を挙げられなかった。その窮地で奮起したのが“岡田チルドレン”のMF山瀬だった。前半33分、右胸を打撲したFW巻が交代を余儀なくされると、大久保に代わってトップ下に陣取った。常日ごろから考えているのは「ボールを持った時も持っていない時も、ゴールを意識すること」。そんな意識が先制点を呼んだ。後半23分、右CKからミドルシュート。シュートは左にそれたが、DF中沢の先制点につながった。38分にはDFラインの裏へ走り、大久保のパスを受けて2点目のゴール。43分にはFW播戸が頭で落としたボールに走り込み、3点目を叩き込んだ。「2点とも決めるだけだったから。ラッキー」。全3得点に絡んでも冷静に振り返った。

 2月6日のW杯予選タイ戦は、過密日程を考慮してセルティック中村の招集を断念。この日は大久保をトップ下で試したが、山瀬にとっては所属する横浜での定位置だ。得意のドリブル突破を見せられず「個の力で仕掛けていくところをつくりたかった」と満足はしていないが、代表での定位置奪取へ大きな一歩。05年、両ひざじん帯断裂ですぐにプレーできる状態ではなかった山瀬の攻撃力を買い、浦和から横浜に移籍させた岡田監督も「巻が負傷したので迷いなく使った。彼の良さは点に絡むこと。いいプレーをしてくれた」と珍しく個人に対する評価を口にした。

 スタンドではオシム前監督が観戦していたが、「そういうところに注意を払う余裕がなかった」と指揮官。愛弟子の活躍で、98年3月1日のダイナスティ杯韓国戦以来3622日ぶりに代表監督としての勝利を挙げ、次は本当の勝負となるタイ戦。「もっとスピードアップしながら、攻撃しないといけない」。岡田監督は浮かれることなく表情を引き締めた。
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