９年ぶり横浜ダービーは世代対決

父親世代に、若さで勝つ！　９年ぶりに復活した「横浜ダービー」が１０日、三ツ沢で行われる。横浜は８日の練習に、Ｕ―２０（２０歳以下）日本代表合宿に参加していた、ＭＦ長谷川アーリアジャスール（１８）乾貴士（１８）ＦＷハーフナー・マイク（１９）が合流。紅白戦形式の練習では好調なプレーで、ダービー戦出場をアピールした。３人合わせて５５歳のフレッシュな戦力が、百戦錬磨の横浜ＦＣ守備陣をかき回す。

　いきいきとした動きが、攻撃にリズムを与えた。横浜ＦＣの４―１―４―１システムを想定した紅白戦形式練習。１０代トリオは主力組で、代表合宿の疲れも見せず走り回った。前半はボランチのＭＦ長谷川が、ボールを奪うと積極的に前線に飛び出した。後半はトップ下のＭＦ乾が、得意のドリブル突破で相手守備陣を切り裂く。締めくくりはＦＷハーフナー・マイク。３０メートル左足ミドルシュートでネットを揺らした。

　先発濃厚の長谷川に、途中出場の乾、マイクが加わる攻撃陣形が見えた。３人合わせて５５歳。横浜ＦＣのＦＷカズ、ＭＦ山口、ＤＦ小村の合計１１５歳の半分にも満たない。対面する相手について「マリノスのセンターバックと言えば小村さん」とマイク。長谷川も「自分も山口さんのような落ち着きがほしいくらい」と敬意を払った。

　だが試合になったら、年齢や経歴は関係ない。マイクは「自分も高さが武器なんで。正々堂々いきます」とハンマーヘッド小村に宣戦布告した。紅白戦後はパワープレーを徹底練習。最高到達点３メートル近いヘディングで、ロングボールを楽々と後方のＭＦに落とした。これを受けた長谷川や乾が勢い良くゴール前に飛び出せば、スピードに弱い横浜ＦＣ守備陣が手を焼くことは間違いない。

　ＡＣミランＭＦカカにあこがれる長谷川は「ボールを奪った勢いで攻め上がる。セルティック戦の彼のゴールのように、ガンガン前に出ていきたい」と話した。マイクは高さで、乾はスピードで。経験の差を埋める個性あふれるプレーで、１０代トリオがダービーの台風の目になる

横浜の20歳ＤＦコンビに先発チャンス

横浜はＤＦ天野貴史、田中裕介の２０歳コンビに、１０日の横浜ＦＣ戦での先発のチャンスがめぐってきた。センターバックのＤＦ栗原が、インフルエンザの疑いで戦線離脱。８日の練習では、左サイドバックＤＦ那須が中央に回り、空いたポジションで２人が試された。

　天野は「本職の右ではないが、持ち味のしぶとい守りで貢献したい」と意気込めば、田中裕は「クロスの精度、運動量で何とかアピールしたい」と、うなずいた。同期の仲良しコンビの競争が、チームを活性化する。

バルサが８・７横浜と親善試合

バルセロナが８月７日に日産スタジアムで、横浜と親善試合を行うことが、６日までに決定的になった。当初は日本で２試合が予定され、東京とも契約直前まで交渉が進んでいた。だがアジアツアー全行程１４日間が、７日間に短縮された。中国で３試合を行うことを優先し、日本での試合数を削減。かねてクラブ間の親交がある横浜のみが対戦することになった。

　横浜の早野監督は、バルセロナを頂点とするスペインリーグの攻撃サッカーを信奉。合宿の食事中にゴールシーンのビデオを流すなどしてきたが、今回はお手本から身をもって学ぶ機会を得た。細かい条件を詰め、近日中に正式契約を結ぶ見込みだ。逆にロナウジーニョ対東京ＦＷ平山の夢の対決は白紙になった。

横浜大島、ダービーで10年越しゴールを

９８年以来の横浜ダービー、横浜ＦＣ対横浜戦が１０日に行われる。横浜ＦＷ大島は、出場停止のＦＷ鈴木に代わって先発が決定的。かつて横浜ダービーでプロデビューを飾った男が、１０年越しのゴールを狙う。

　「ダービーどころじゃない。何もできなかった」と大島。９８年の開幕ゲーム横浜Ｍ戦で、横浜Ｆの高卒ルーキーはいきなり先発した。だが観衆５万人超のプロの大舞台に、自分を見失った。日本代表ＤＦ井原、小村の前に「シュートすら打てなかった」という。

　大島は０５年、ライバルだった横浜に移籍した。プロ１０年目の区切りの今年は、鈴木の加入で開幕戦に出場できず。だがライバルは警告２回で退場。運命的にも、復活するダービー戦が、大島にとっての開幕戦になった。

　京都―山形と渡り歩く間に「何でもしようと思うより、ゴール前の仕事に専念したほうがいい」とプロらしい割り切りもでき、決定力は格段に上がっている。「今度こそ点を取る」。ダービーの忘れ物は、ダービーで取り返す。

「驚異的身体能力」のＦＷ久保を警戒

横浜守備陣が、１０日に対戦する横浜ＦＣ久保対策を練り始めた。３日の浦和戦で、３５メートルのスーパーロングシュートを決めた、かつての同僚を警戒。ゴール後の派手なパフォーマンスにＤＦ中沢は「あまり見たことない。それだけノッているということ。要注意」とうなずいた。

　久保の注意点について、選手たちはそろって驚異的な身体能力だと強調。練習でシュートを受けてきたＧＫ榎本は「まるでナイジェリア人みたいに、筋肉がすごい。やわらかいし、バキバキに盛り上がっている」と話す。さらにＤＦ栗原は「外国人ＦＷは日本人ＦＷと怖さの質が全然違う。タツさん（久保）も外国人並み」と分析、警戒が必要だとした。

横浜の今季目標「カルテット３」

　横浜の左伴社長が、今季のクラブの目標として「カルテット３」を掲げた。５日、スポンサーを集めた「キックオフパーティー」を開催。冒頭のあいさつで「カルテット３（４個の３）にこだわっていきたい」とコメント。「ホーム戦１試合あたり集客３万人、スクール生３０００人、クラブフラッグを掲げてくれる商店街３００、トップチームの最終順位３位以内」との目標設定を明かした。

　すでにスクール生の項目は達成済み。だが開幕戦での集客数は２万４４６６人。商店街数は１７０と大幅アップが必要。２年連続９位と低迷中のトップチームにも、厳しいゲキになった。

横浜－甲府戦で地球温暖化防止巨大バナー

リーグは１日、３日に神奈川・日産スタジアムで行われる横浜－甲府戦（午後２時キックオフ）の開始前に地球温暖化防止を呼び掛ける巨大バナーを設置する、と発表した。Ｊリーグは、政府が提唱する地球温暖化防止のための国民運動「チーム・マイナス６％」に賛同し、０５年からさまざまな活動を行っている。

　今回の企画では、スタジアム来場者をはじめ多くの人々に地球温暖化防止を呼び掛けるため、日産スタジアムのピッチ上に長さ１００メートル、幅１８メートルの巨大バナーを設置する。実施時間は午後０時４５分～１時１５分までの３０分間。環境問題に対する取り組みへのＪリーグの強い意志を表す。

横浜新人アーリアは「サッカー界のダル」

イラン人父を持つ「サッカー界のダルビッシュ」こと、横浜新人ＭＦ長谷川アーリアジャスール（１８）のＪ１開幕スタメン（３月３日・甲府戦）が有力となった。長谷川は２７日から始まったＵ－２０代表合宿参加を回避し、チームに帯同。練習では主力組でＭＦ河合とボランチコンビを組んで軽快な動きを披露した。さらに早野監督の個別アドバイスを受け、同期のＭＦ乾相手に何度もパス交換からのシュート練習を繰り返した。

　２３日のサウス・チャイナ戦での活躍が認められた。３年目以下の若手主体のチームが、敵地で香港の強豪クラブと２－２のドロー。中盤で攻守の起点となった長谷川のプレーは、すぐに首脳陣の耳に入った。早野監督は「（長谷川は）抜てきなんかじゃない。技術があり、攻撃参加もできる。若手もベテランも関係なく、いい選手はどんどん使う」と熱っぽく話した。

　開幕戦に先発すれば、高卒ルーキーとしてはクラブ史上４人目。長谷川は「まだ（先発は）分からない。出場できれば、すべてを出してアピールしたい。欲を言えば得点したい」。変革の時を迎えた名門横浜のスローガンは「スクランブル・アタック（緊急発進攻撃）」。ユース出身の超新星が、その言葉を実践する。

横浜松田がボランチで復帰

右ひざ半月板損傷の手術から復帰した横浜ＤＦ松田が、ボランチとして実戦復帰した。練習試合ソニー仙台戦で、後半開始から出場しＰＫで１得点。パスで好機もつくり、今後の可能性を感じさせた。「楽しかった。下手すぎるけど、逆に後はうまくなるだけ」と松田。高卒直後の９５年も横浜Ｍで開幕レギュラーだったが、新ポジション挑戦と引き換えに開幕スタメンは難しくなる。「正直出たいけど。ＤＦに戻っても経験は生きる。人生いろいろ。おじさん頑張ります」。３０歳を迎える今季を転機に、新境地開拓に挑む。

横浜ＤＦ松田はボランチで復活

横浜ＤＦ松田直樹（２９）がボランチで復活する可能性が出てきた。この日の８対８のミニゲームでは、最終ラインの１列前で前後左右に走り回った。「サッカー観が変わった。ＤＦは冷静に周りを見るけど、ボランチはとにかく一生懸命やらなきゃならない。視野の広さも必要。新しい発見があった」と目を輝かせた。

　昨年１２月７日に右ひざ半月板の手術を受け、約２カ月間はリハビリに専念。チームに本格合流してからまだ１週間ほどで「あと１歩が出ない。付いていくのに精いっぱい。毎日体重が２キロ減る」と言う。それでも「あらためてサッカーが楽しいと感じた」と笑顔が絶えない。

　４バックの採用で、昨季３バックを形成した中沢、栗原、松田のうち１人が、あぶれる可能性がある。そこで早野監督は松田のボランチ起用を発案。「開幕戦は分からないが、マツにはいろいろなポジションをやらせてみたい。アイツならできる」と信頼を寄せる。オシムジャパンばりに、松田が「ポリバレントな能力」を発揮してチームの、そして自らも復活を果たす