横浜Ｍ・中沢、先制ヘッド＆ＯＧ

横浜Ｍが１０人で貴重な勝ち点１を挙げた。同点に追いつかれた後半３５分、ＤＦ小椋が２枚目の警告で退場。それでも相手攻撃陣に仕事をさせず、ＤＦ中沢は「こっちは１０人になったし、相手の方が悔しい気持ちは強いと思う」と１―１の結果を前向きにとらえた。

　チームは着実に前進している。前節の磐田戦に続き、課題のセットプレーで得点。前半４２分にＭＦ狩野の右ＣＫから中沢が頭で先制点を挙げた。また前半にマークのずれを感じた中沢がすかさずベンチにシステム変更を要求。後半から３バックを４バックに代え、柔軟な戦い方もできた。

　後半２７分に相手のＣＫから中沢のオウンゴールで同点とされたが、最後まで集中力を欠かさなかった。９月は１勝２分けと不敗。次節は絶好調の大分から攻撃的なサッカーで勝ち点３を狙う。

横浜Ｍ大きな１勝！今季初出場の狩野が救った

負ければＪ２降格圏に再転落する１６位・磐田との“裏天王山”。横浜Ｍは攻撃の核、ＭＦ山瀬功が右足首負傷で今季初めて欠場する危機的状況の中、代役のＭＦ狩野が創造性あふれるプレーで次々と好機を演出した。

　後半２分、左ショートコーナーからの左足クロスをＦＷ大島の頭にピンポイントで合わせた。ＤＦ中沢の「普通に蹴っても相手が警戒している。試合の中でうまく緩急をつけるセットプレーが大事」という助言もあり、ショートコーナーに切り替え成功。今季６点目を挙げたＦＷ大島も「ボールの質が良かった。試合に勝てたことが大きい。結果によって随分と状況が変わるところだった」と胸をなで下ろした。

　今季、負傷で出遅れた狩野は、昨年末の天皇杯以来となるフル出場。「ペース配分なんて考えられなかった。気持ちでついていけて良かった」と笑顔を浮かべた。

　ＭＦ松田が試合中に左ひざを痛め、２３日の川崎戦欠場が濃厚。だが、木村浩吉監督（４７）は「代わりの選手がやればいい」と不安の色を見せない。残り９試合、チーム一丸で上位を目指す。

栗原２５歳初弾だ

横浜Ｍの日本代表候補ＤＦ栗原が２０日の磐田戦で節目のゴールを狙う。１８日に２５歳の誕生日を迎え、練習後にチームメートから生卵と小麦粉を投げつけられるなど手荒な祝福を受けた。右太もも肉離れから復帰した前節の神戸戦では約３か月ぶりに先発。１６位・磐田戦はＪ１残留に向けた重要な一戦で、栗原は「バースデーゴールを狙う」と本職の守備だけでなく、セットプレーからの得点にも意欲を見せた。

木村監督明言！山瀬功先発落ち

横浜Ｍの木村浩吉監督（４７）は、２０日の磐田戦でＭＦ山瀬功を先発メンバーから外す意向を１６日、明らかにした。前節の神戸戦で右足首を負傷した山瀬功は２日連続で休養。回復は順調だが、指揮官は「（プレー）できるのならメンバーには入れるけど、先発では使わない」と話し、昨年末から続いているリーグ戦フル出場記録も２７で途切れる見通しとなった。

　指揮官は就任当初からコンディションのいい選手を起用する方針を示し、練習を重視。「練習で頑張っているやつを使う。みんなのチーム。そういうつもりでやってきた」と、山瀬功の攻撃力はチーム随一だが、特別扱いしないことを明言した。現在１５位で、降格圏内の１６位・磐田との“裏天王山”にチーム一丸で白星を狙う。

岡田ジャパンに朗報！横浜Ｍ・栗原３か月半ぶり復帰

横浜ＭのＤＦ栗原勇蔵（２４）が１３日の神戸戦でベンチ入りすることが１１日、確実となった。右太もも裏肉離れで５月３１日のナビスコ杯、大分戦を最後に試合を遠ざかっていたが、この日の紅白戦の２本目で主力組としてプレー。「早く（試合を）やりたい」と約３か月半ぶりの復帰に意欲を見せた。

　「これだけ長いのは初めて」という栗原は転んでもただでは起きなかった。３度も同じ個所を痛め、離脱期間はプロ人生で最長。だが、その間に筋力はアップし、８０キロの体重は８３キロまで増加した。センターバックの層が薄い日本代表にとっても栗原の復帰は大きい。日本サッカー協会関係者によると、代表スタッフも高評価。すでに岡田ジャパンの短期合宿にも招集されており、今後のプレー次第で代表入りする可能性も十分ある。

　現在チームは１５位。Ｊ２降格危機に、この日の練習後に行われたキャリアサポートの講習会ではＯＢの城彰二氏が自らの経験を話し、しった激励した。栗原の復帰はクラブの巻き返しを強く後押しするはずだ。

横浜Ｍまた勝てず 苦手・大宮に４分４敗

横浜Ｍは苦手・大宮に０―１で敗れ、１５位。

　悪夢は再び繰り返された。上昇気流に乗りつつあった横浜Ｍが“天敵”大宮に大苦戦。組織的な守備を崩しきれず、カウンターから失点という過去と同じパターンにはまり、０―１で敗れた。これで対大宮はリーグ通算４分け４敗と８戦未勝利。ＤＦ中沢は「よく見かけた光景。何年たってもこういう相手を崩しきれないのがマリノスの課題」と唇をかみ締めた。

　「消極的だった」と木村浩吉監督。ＭＦロペスを投入した後半からシュート数は増えたが、全体的に攻撃がちぐはぐ。決定力も影を潜めた。後半２７分、ＦＷ坂田がベンチに下がると前線にＦＷ登録の選手が不在となる“トップレス布陣”に。さらに同４０分過ぎには中沢が前線に上がるパワープレーに出たが、打開できなかった。Ｊ２降格圏への再転落は免れたが、リーグ不敗は４でストップ。リーグ中断期間に仕切り直し、再度巻き返しを図る。

横浜Ｍ４２日ぶり降格圏脱出

横浜Ｍが最下位・札幌とのＪ１残留直接対決を制し、４２日ぶりにＪ２降格圏を脱した。後半９分、ＭＦ小宮山尊信（２３）が右足で約２６メートルのミドルシュートを決め、１点を守りきった。これで磐田を抜いて１５位に浮上した。

　右足にしょく罪の思いを込めた。後半９分、右ＣＫのこぼれ球。ＭＦ小宮山は約２６メートルの距離にも迷わず右足を振り抜いた。「前半から何本か（シュートを）打っていた感触が残っていた。うまく足に（ボールが）乗っかった感じ」と振り返る弾丸は堅守を見せていた札幌を打ち砕いた。

　試合前日、小宮山は練習に寝坊。練習後に長髪にバリカンを入れ、ほぼスキンヘッド状態に。緩みかけた気を引き締めた成果がきっちりと表れた。「丸刈り？　いろいろあったんで謝罪の意味で。（髪を）切って良かったです」とホッと胸をなで下ろした。

　小宮山の安堵（あんど）が示すように、がけっ縁の一戦だった。最下位の札幌とはＪ１残留をかけた直接対決。ＤＦ松田は「正直、順位は気にしていた。選手の気持ちのどこかに“降格”があった」と打ち明ける。残り試合は１０試合以上あるとはいえ、Ｊ２降格の危機は選手に重圧を与え、目に見えない足かせとなっていた。決定機を決めきれず、結果は１―０の辛勝だが、死に物狂いでつかんだ勝ち点３だった。

　「１点取れば勝てると思っていた」と木村浩吉監督（４７）。約４か月ぶりの完封で、７月１３日の新潟戦以来抜け出せなかったＪ２降格圏を脱した。これでリーグはここ４戦無敗。２８日の大宮戦では開幕以来の連勝を狙う。

３か月半ぶり中沢弾！Ｗ杯最終予選へ勢い

横浜Ｍは前半２７分、日本代表ＤＦ中沢佑二（３０）が、約３か月半ぶりの得点となる強烈なヘディングゴールで先制。その後、清水に追いつかれてドローに終わったが、２０日のウルグアイ戦（札幌ド）、９月に始まるＷ杯アジア最終予選へ勢いをつけた。川崎は北京五輪代表ＭＦ谷口博之（２３）のゴールで一度は追いついたが、磐田と引き分けた。

　久しぶりの感触だった。前半２７分の左ＣＫ。横浜Ｍの日本代表ＭＦ山瀬功が、ニアサイドに鋭いボールを送る。飛び込んだのは日本代表ＤＦ中沢だった。強烈なヘディングシュートで先制点をゲット。４月２９日の千葉戦以来、約３か月半ぶりとなる今季３点目でチームに勢いをもたらした。

　「最近、（山瀬）功治と呼吸が合ってきた」と中沢。勝負どころで決めきれなかったセットプレーがようやく決まった。守備でも前半４１分、清水ＦＷ矢島がＧＫ榎本を抜き去った場面で懸命にカバーに入り、シュートブロック。ピンチを防いだ。

　後半直後にＣＫから失点し、結局はドロー。「１―０にすることができればＤＦも自信がつく。最近失点が多いし、今後の課題」と悔しがったが、「今までは逆転されることもあったし、負けなくてよかった」と気持ちを切り替えた。

　９日のＧ大阪戦でリーグ１１試合ぶりに勝利してから公式戦４戦負けなし。一時はリーグ７連敗とどん底だったチーム状況は確実に上向いており、木村浩吉監督（４７）も「勝てなかったのは悔しいけど、次につながる」と次戦を見すえた。

　中沢自身、もう一つの戦いを控える。２０日のウルグアイ戦に向け、１８日には日本代表の札幌合宿が開始。９月からはＷ杯アジア最終予選も始まる。「僕自身のパフォーマンスとしてはいい形で代表にいけると思う。札幌の空気を吸って、元気でやっていきたい」というボンバーヘッドが代表でも全力を尽くす。

横浜Ｍが大学ＮＯ１ＦＷ、早大・渡辺獲得へ

横浜Ｍが、１２日から早大の大型ＦＷ渡辺千真（２２）の練習参加を受け入れた。渡辺には川崎、清水なども獲得に乗り出しており、来季の新人選手としては一番の注目株。今年２月の宮崎合宿に招くなど早くから獲得に動いており、今回も４日間の日程で練習参加が決まった。木村浩吉監督（４７）は「色々なことができる選手。即戦力。一番の目玉でしょう」とラブコールを送った。

　Ｊクラブの争奪戦にも渡辺自身は冷静で「１年目から試合に出て活躍したいというのはある。そこを一番に考えている。遅くても１０月には決めたいけど、焦る必要はない」と話した。横浜Ｍは今春に特別指定選手としての受け入れを検討するなど積極的にアプローチしており、今回の練習参加で獲得へ前進したい。

横浜Ｍ １１戦ぶり勝った！

ようやく長いトンネルを抜けた。勝利の笛が鳴ると、木村浩吉監督（４７）は左手で小さくガッツポーズを作った。４月２９日の千葉戦以来、リーグ戦で１０試合も勝てず、６連敗も経験。いずれもクラブ史上ワーストの記録だった。桑原前監督も７月に更迭。どん底の状態で引き継ぎ、苦しみながらも勝利をつかんだ木村監督は「オレ、監督向いてないね」と苦笑した。

　今季は序盤戦で後手を踏むことが多かったが、この日は違った。「選手は言われたことはしっかりやる」という指揮官は時間帯による戦い方を指示。試合開始直後は前線からの守備やＤＦの背後を突くプレー、ミドルシュートなどを徹底するなど戦術を明確にした。これが功を奏し、前半３１分にはＦＷ大島が先制弾。後半も運動量を保ち、ＦＷ坂田が今季初ゴールで突き放した。大島は「試合の入り方などがはっきりした」と振り返る。

　結果が出なくても木村監督は信念を曲げなかった。就任当初から「コンディションのいい選手を使う」と宣言。主力でも練習で調子の良くない選手は先発から外した。この日はユース所属の高校３年生ＦＷ斎藤学もベンチ入り。初采配（さいはい）となった７月１６日のアウェー神戸戦で三菱養和時代の恩師である塩谷英樹さんから掛けられた「信念を崩すな。思ったことを貫き通せ」という言葉は今でも頭に残っている。

　順位は変わらない。Ｊ２降格圏内の１６位。反面、もがき苦しむ中でつかんだ勝利の重みは計り知れない。「今日の試合は３―１にしないといけなかった」と早くも反省の弁を残した木村監督。名門がこれから巻き返しを図る。